新規性及び独自性を有する被服のデザインについては、EU知的財産庁(EUIPO)にEU登録意匠出願を行うことにより、EUにおいて保護を受けることができます。これによって意匠権者は、自身の被服デザインを第三者が無断で使用する状況を防止することが可能になります。
これまでEU登録意匠の保護対象を規定するときには、意匠を表現する7つの静止図を使用していました。これらの図面は、直交する各面の図と、1つの斜視図による構成が一般的でした。
もっとも、緻密な細部表現、複数の輪郭上又は構造上の構成要素、変形可能な特徴などを含む被服デザインの場合には、このような意匠の特徴を7つの静止図のみによって適切に把握することが困難になる状況が多々ありました。
しかし2026年7月1日付でEU意匠制度は大幅な改正が実施され、意匠の保護対象を規定するために認められる表現方法に関して、大規模かつ世界最先端である変更が導入されました。
静止図を使用する選択肢は依然として利用可能ですが、認められる図面の数が増加して最大で10図面となったことから、意匠の具体的な特徴を示すための追加的な詳細図、又は輪郭を明確に示すための追加的な斜視図などを含むことが可能になり、意匠表現の柔軟性が高められています。
EU登録意匠の出願人は更に、(.jpegフォーマットによる)静止図に追加して、(.mp4フォーマットによる)アニメーション形式の意匠表現,及び(.OBJや.STLファイルを使用した)動的画像を提出することも可能になっています。
EUは意匠の保護対象を規定するための選択肢を拡大し、静止図以外の形式を認めた、世界で最初の法域となりました。これは近代化と新技術の採用を積極的に進めているEUの姿勢を表すものといえます。
このような新タイプによる意匠表現の提出が認められたことから、静止図を使用した場合には表現が困難であった、あるいは時として不可能であった、意匠の特徴を示すことが可能になりました。
たとえば緻密な細部表現や、複雑な輪郭・曲線・構造を含む意匠デザインについては、360度の回転やズームが可能な動的画像を使用した意匠表現によるメリットを享受することができます。
動画などのアニメーションによる意匠表現の選択肢は、被服デザインに関する限り,他の産業分野と比較して利用価値が低いかもしれませんが、それでもいくつかの利用方法が考えられます。たとえば反応的に色彩が変化する衣類、所定のシーケンスで発光表示するLED一体型の衣類などは、アニメーションによる意匠表現が有益でしょう。
これらの意匠を保護するための選択肢の改善は、被服デザインの分野においてコピー行為への懸念から生じる制約を取り除き、創造性と想像力を更に発揮する道筋を切り拓くものといえます。
すべてのファッションデザイナーやクリエイターの皆さまには、確固たる保護を獲得するために、自身の意匠について登録を検討されるよう推奨いたします。登録は以前と比べて容易になっています。
当所の意匠チームは、皆さまの意匠の保護・市販化・権利行使を支援いたします。詳細につきましては当所の「Designs」ページをご覧ください。
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